“微笑みの国”と称されるタイは、平常時であれば、年間120万人の日本人が観光、ビジネスで訪れるアジアで最も人気の高い国だ。タイ・バンコクの観光最新事情をレポートする。


by thai-jwing
 昨年11月のスワンナプーム空港閉鎖、今年4月のパタヤ、バンコクでの暴動で、タイはバンコクを中心に海外旅行需要が冷え込んでいるが、加えて、世界的な新型インフルエンザの発生で、日本からのビジネス需要も影響を受け、タイの旅行業界は厳しい局面を迎えている。しかし、実際にバンコクを訪問すると、全くの平穏で、欧米・アジアからの旅行者で賑わい、バンコクはいつもの「微笑みの国」として観光客を迎えている。タイにとって、観光は基幹産業。バンコクの旅行関係者は、日本からの旅行者の回復を心から願っている。(取材=本紙編集長・石原義郎、取材協力=タイ国際航空、フォーシーズンズ ホテル バンコク、サイアム・ホリデイ・インターナショナル)
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タイ国際航空、羽田就航最優先に日本市場拡大
需要回復前提に仙台、札幌、沖縄路線を検討

 タイ国際航空(THA)は旅行需要の回復に向けて、4月からキャンペーンを展開している。また、来年10月の羽田空港の国際化、成田空港の滑走路延長時には、羽田−バンコク線の開設、成田−バンコク線の増便、さらに、需要回復を前提に新規路線の開設を検討することも明らかにした。

a0135394_188522.jpg THAのバイスプレジデント、ピチャイ・チュンガヌワド氏(写真右)は、その中でも、最優先事項は羽田−バンコク線のデイリーフライトで、来年10月からの運航に対して期待感を示した。ただ、運航時間帯については、特定時間帯、深夜・早朝時間帯を含めて今後の交渉になるとしながらも、深夜・早朝時間帯の場合の利用者の不便さを指摘するとともに、国際線が羽田と成田に分かれることにより市場が二分化されることに対して懸念を示した。

a0135394_1891517.jpg 日本を含む東アジアを担当するリージョナル・ディレクターのドラヤポン・サクハヌサス氏(写真左)は、成田、関空、中部、福岡線の需要回復に努めるとともに、来年は羽田から1日1便運航するとともに、成田から1日1便増便する。また、札幌−関空ーバンコクと仙台−バンコクを日本の新たな市場としてフォーカスする。

 同社は今年5月、8月、9月に札幌−バンコク、仙台−バンコク間にチャーター便を運航する。これを足掛かりに、仙台−バンコク直行便、札幌−関空−バンコク線の定期便開設の可能性を探る。札幌−バンコクはいずれは直行便の運航を目指すが、まずはインバウンド、アウトバウンドの需要を見て、関空経由を検討する。

 さらに、新たな路線として、福岡−台北−バンコク線、沖縄−バンコク線の可能性についても検討していく。こうした新規市場の開拓を進める上で、スターアライアンスのパートナーである全日空の日本国内路線と日本の主要空港−バンコク路線をシームレスにつなげたいとしている。

 一方で、日本からバンコクとタイ国内路線とのシームレス化、バンコクからのデンパサール、オーストラリアなどのビヨンド路線を拡充し、タイ国内・国際ネットワークを強化する。
 同社では、日本からの海外旅行需要とともに、確実に伸びているタイから日本への訪日旅行需要についても市場の拡大が望めるとしている。ドラヤポン氏は「タイの国民は日本文化が好きであり、また、札幌を中心にウインター・パッケージは人気がある。バンコクをハブ空港として日本訪問の市場拡大を考えたい」と述べた。

 機材計画については、エアバスA330-300型機8機とA380-800型機6機を導入する。福岡−バンコク線に、今年8月からエアバスA300-600型機に替わり、エアバスA330型機を投入する。A380-800型機は2010年後半にデリバリー予定で、全507席(ファースト12席、ビジネス60席、エコノミー435席)。A380型機の投入路線について、ピチャイ氏は日本、中国を含めて需要が見込める路線に投入するとして、今後の需要回復、市場動向を見ながら決定する方針を示した。

ピチャイVP、日本市場を最重要視
タイの安全性強調、需要回復期待

 タイは空港閉鎖事件以降、旅行需要は大きな打撃を受けているが、実際にはバンコクはもとより観光地は平穏で、デモ隊の影さえない。もちろん、マスクをしている人はほとんどおらず、たまに目にすれば、日本人という光景の方が違和感がある。

 同社のピチャイ氏は、「レジャー需要、ビジネス需要ともに日本市場を最重要視している。今後も新しいデスティネーション開発、新しい路線開設を進めるとともに、プロダクトをアップデートしていく」と今後の展開を述べるとともに、「先のタイにおける事件や暴動もタイの全土で起きたことではなく、特定地域で発生したことで、今はすべてが平穏無事、安全である」と強調、日本市場の回復を期待した。
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王宮周辺はタイ国内からの参拝者や外国人観光客で賑わっている。



タイ需要回復キャンペーンを展開
ウェブ・ブッキングの拡大を目指す

 次に、販売施策については、まずはウェブブッキングの拡大を目指す。同社は4月からタイへの旅行需要回復キャンペーン、「いそげ!タイへ! THAI BARGAIN」を展開、9月末までの上期の期間中に実施する。同キャンペーンはF1クラスの25〜35歳の女性層を対象に、さまざまな特典を提供する。F1クラスを獲得できれば、母娘旅行にまで拡大すること狙う。
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 既に、同キャンペーンは同社ウェブサイトに掲載されるとともに、5月中旬から駅張りポスターが掲出され、新聞・雑誌への展開も逐次展開されている。

 特に、今回のキャンペーンの特徴はウェブを使って実施することが最大の特徴で、ウェブに掲載されたQRコードを携帯で撮り、キャンペーンの情報をダウンロード、これと搭乗券の半券を一緒にキャンペーン参加のスパ、ショップ、レストランなどに持っていけば特典を受けられる。同社によると、キャンペーンスタート直後から、利用者の評判は高いという。
 また、空港閉鎖事件以降、この6カ月間で、非常に影響を受けているコーポレート需要の回復を目指す。タイに進出している日本企業に対して個別にアプローチしている。ビジネス渡航は新型インフルエンザの影響で、世界的に自粛傾向が強まっているが、過去の事例からすると、沈静化していけば、市場回復は早いと見られている。


バンコク国際空港に世界最高のラウンジ
スパラウンジで至福の一時を過ごす

a0135394_18461988.jpg バンコク・スワンナプーム空港のターミナルビル3階、コンコースDに、タイ国際航空(THA/TG)のロイヤルオーキッドスパラウンジがある。ロイヤルファーストクラス、ロイヤルシルククラス(ビジネスクラス)の搭乗客が利用できる。

 ロイヤルファーストクラスは無料で、全身スパトリートメントをはじめ首肩マッサージ、メリディアン・フットマッサージを受けることができ、トレーニングジム、ヨガスタジオの利用もできる。
 また、ロイヤルシルククラスは無料で、首肩マッサージおよびメリディアン・フットマッサージが利用できる。
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a0135394_18501251.jpg とくに、バンコクから出発の場合、ロイヤルファーストクラス、ロイヤルシルククラスの利用者は、チェックイン後に、コンコースがそのままラウンジと繋がっており、搭乗まで、ラウンジでゆったりと過ごすことができ、マッサージを受ける利用者も多い。また、ラウンジにはシャワールームやリラックスルームも完備している。

 タイ国際航空のラウンジは、スカイラックスから2009年の世界の航空会社「ベストラウンジ賞」を受賞した。世界で折り紙付きのラウンジである。


日本市場を最優先、邦人スタッフ充実
フォーシーズンズ ホテル バンコク

 日本からの旅行者が120万人を超えるデスティネーションは、タイをはじめ中国、韓国、米国と数カ国しかない。とくに、タイは海外旅行需要全体が低迷しても、リピーターが半数を占める事実から見ても、タイの旅行需要は底堅く、他のデスティネーションとの競争力でも優位に立っていると言える。

 だが、残念なことに、昨年11月末の空港閉鎖と4月のアセアンサミット中止に追い込んだ反政府デモの影響が、日本からの旅行需要回復にブレーキを掛けている。タイの政情不安については、日本では過剰に報道され、それが今も尾を引いているが、前述の通り、全てが平常に戻っているタイ、とくにバンコクに対して、正確な情報を伝えることが重要であり、タイのイメージを回復することが、そのまま日本人旅行者の回復につながる。

a0135394_18122017.jpg フォーシーズンズ ホテル バンコクのゼネラル・マネジャー、ライナー・スタンファー氏(写真右)は、昨年11月末の空港閉鎖事件で減少した旅行者がようやく戻りつつあった中で、4月の反政府デモが起き、結果的にこの半年間の需要減がタイ・バンコクの旅行業界に大きな影響を与えていることを指摘する。
 そうした中で、スタンファー氏は、「フォーシーズンズは、日本人旅行者を最重要顧客と位置付けている」とし、どのホテルよりも日本人スタッフは充実しており、それは今後も変わらないことを強調した。

 フォーシーズンズはタイで、バンコクをはじめチェンマイ、チェンライ、サムイと4軒のホテルを運営している。バンコクは総客室数354室、従業員数約700名。ホテル内に日本人従業員が5名おり、フロント2名、営業2名、レストランシェフ1名が配属されている。また、日本語が堪能なタイ人スタッフがフロントに3名配置されている。

 フォーシーズンズ ホテル バンコクは、バンコクの中心街にありながら、ホテル全体がリゾートホテルとして確立されている。ホテルから出ることなくリゾートライフを過ごすことができる。
 レストランは和食、タイ料理、イタリア料理、グリル等、直営7店舗が揃う。とくに、タイ料理の「スパイス・マーケット」は、バンコクでも最高の評価を得ており、このレストランを目当てに食事に来る日本人客も多い。

 部屋タイプはスイート、デラックス、スーペリアなど10タイプに分けられるが、スイートクラスからの眺めは素晴らしい。また、同ホテルの特徴として、カバナスイート1室、カバナルーム7室(写真上)がある。2階に配置されたリゾート風のカバナ(写真下)はプールと直結し、まさにビーチリゾートに来たかのような趣がある。若いカップル、ハネムーナー、さらにはシニア夫婦もゆったりリゾートライフを過ごすことができる。
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 フォーシーズンズ ホテルズ タイランドのセールス・ディレクターで、タイ国日本人ホテル会会長を務める吉川歩氏(写真右端)は、「価格的に通常よりもリーズナブルな今こそ、日本マーケットに対して、エアライン、ホテル、政府観光局が一体となり、長期戦略で需要を喚起したい」と語る。
 日本の旅行者に対して、タイ・バンコクは完全に平常時に戻っていることを正しく伝えることが、需要回復への第一歩となる。
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# by thai-jwing | 2009-07-27 16:37